ふりかえりコラム

安売り経営をオススメしない本当の理由

安売りは大手だけが選べる経営の選択肢。
こんな言葉を聞いたことがある方は多いのではないでしょうか?

「儲けを減らして商売できるのは資金が豊富な大手だけ。」
「大量仕入れと大量販売できない限り、安売りには限界がある。」

これは、安売り価格で開業した私でも、さすがに以前から知っている情報でした。
じゃあ知っていたのになぜ、あえて危険な安売りという選択肢を選んでしまったのか。

それは「自分の報酬さえ我慢すれば商売が成り立つ」と思っていたから。

もしかしたら当時の私と同じ考えで安売りを考えてしまう方もいらっしゃるかも知れません。でも実際にやってみた実感として思うのは、やはり「安売りは絶対にやってはいけない」という事なのです。

自分の報酬を我慢できたとしても安売り経営を私がオススメしない理由とは何なのか?

安売り経営で気づけなかった落とし穴

「自分には商売を本気で成功させる意思がある。」
「だから、しばらくは報酬なしでも事業を継続できる。」

これが起業した時に私が安売り経営を選んだ理由。
つまり、小さなお店が安売り経営で失敗してしまうのは、儲かっていないのに自分の報酬を取ろうとしてしまうから。逆に考えるのなら、報酬さえ我慢することができれば、小さなお店でも安売り経営は十分勝負できる余地がある。そう考えたのです。

でも、この考えは今から振り返ってみると完全に間違っていました。
なぜなら、安売りをしてはいけない本当の理由は「儲からないこと」ではなかったから。

安売りをしてはいけない本当の理由。
それは「打てる手がどんどん減っていく」という事。

たとえ儲からなくても報酬を我慢すれば、いつかは売上を伸ばす手を見つけられる。
そう思っていましたが、結局のところ儲からない経営は「儲けるための一手」を思いついたとしても、それを実行するためのお金がないため、事業を続ければ続けるほど経営の選択肢は減っていき、他の儲かっていない安売りのお店と同じような選択しかできなくなっていってしまうのです。

選択肢は少なく、競合は多い

最終的にこの負の連鎖から抜け出すために私が取った選択。
それが値上げでした。

私が現在に至るまで商売を続けてくることができたのは、安売り経営を諦めて値上げをすることで価格競争から抜ける選択をしたというのも要因の1つだったと思っています。

値上げをしたことで、それまでは来てくれなかったお客さんの層が来てくれるようになり、結果的に儲けも増えて経営の選択肢も増やすことができました。

選択肢が増えれば、他とは違うお店になることができるようになる訳です。

安売り経営をやってみて分かったこと。
それは「儲けも選択肢も少ないのに、競合だけは多い」という事実。

安売りをしようとするきっかけは集客がしやすそうと言うのが一番の理由でしょう。
でも実際は、儲けも選択肢もない中で、数多くの安売りをする競合と戦い続けなければならないというのが現実なのです。

一見簡単そうに見える安売り経営には、同じことを考える多くの競合が集まり、結果的に集客できなくなる。

「安売りほど難しい経営はない。」
今から振り返って考えてみると、つくづくそう思うのです。

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© 2020 辻本誠 ふりかえり分析家