開業前 開業後

開業すべきか?とどまるべきか?

「開業した方が良いのか?しない方が良いのか?」
「今の給料を失う覚悟はあるのか?」
「上手くいかなかったら、人生どうなるのか?」

ぼんやりしたレベルで開業を考えている時は良いことばかりが頭に浮かびます。
でも、いざ開業という選択肢が目の前に来ると心配事が尽きなくて決断できない、なんていう方も多いんじゃないでしょうか。

今日は私たちが廃業直前まで行った時に何を考えていたのか書いてみます。
あくまで私個人の思考になりますが、開業に悩んでいる方の参考になれば嬉しいです。

開業直後に来た2回の危機

これまで何度か私のブログを読んでいただいている方であれば、創業後にかなりの苦戦を強いられていたのはご存知だと思います。

初めての方はこの辺りの記事をご覧ください。

開業時は悪質な業者にご用心
3年で90%が廃業する事実
融資が決まる前に物件を契約したらこうなった

私たちの場合は、開業する前にすでに解散の危機が一度。
そして、2店舗目の出店前にもう一度、廃業の危機が来ています。

業者に騙される、売上が上がらない、資金繰りに失敗する。
皆さんが聞いたことあるような開業の失敗原因は、大体経験してきてると思います。

結果、開業してほぼ1年は無給という報酬だったので、一般的には明らかに開業失敗です。

失敗したら後悔するのか?

この頃、私は開業したことを後悔していたのか?

結果を書くと、全く後悔していませんでした。本当です。
報酬が出ていなくても一瞬も後悔したことがありません。

負け惜しみじゃありません(笑)。

前職はかなり良い給料で働かせてもらっていましたが、辞めなきゃ良かったなんて言う後悔は全くなかったのです。
後悔がないと言うよりも、考えても時間の無駄だから一切そんなことを考えていなかった、と言う方が正解に近いかも知れません。

残っているお金が尽きるまでに挽回できるアイデアは何か?
それだけをひたすら考えて手を打ち続けました。

結果的に私たちは廃業していません。
だから「本当の意味での失敗ではない」という考えもあるかも知れません。
でも、もしそうなっていたとしても後悔はしていないでしょう。

自分の出来る限りを尽くして、結果が出なかったとしたらそれは力不足。
悔しいかも知れませんが、勝負して負けたのだから納得です。
勝負しておけば良かったと思う、「後から悔やむ」後悔とは別物なのです。

「山の向こうにどんな景色があるのか知りたい。」

そんな気持ちを持った人が実際に山に登って見た景色。
それが、自分が想像していた景色と違っていたからといって、その景色を知った事自体を後悔する人はいないと思うのです。

開業はキャリアアップじゃない

「開業で失敗しても後悔しない」というのが私個人の考え。

ただ、開業を悩んでいる方にもう一つだけ書いておきたいことがあります。
それは「開業=すごい」では全然ないと言うことです。

ぶっちゃけ飲食店の開業なんてお金があれば誰だってできます。
極端な話、貯金さえあれば働いた経験がゼロでもできる訳です。

お金だけで手に入れられる一番楽なキャリア。
それが「開業」なのです。

実際に開業した経験から言えば、開業すること自体よりも、所属している会社で昇進していくことの方がよっぽど難しいことだと感じます。

開業することをキャリアアップと考えている方もいるかも知れませんが、そんなカッコいいものじゃありません。企業に所属している時よりも成長スピードは落ちるでしょう。
キャリアダウンと言っても良いくらいです。

さらに実際に開業をすると、社会的な信用も一気に失います。
・クレジットカードの限度額が大幅に下げられる。
・信用がないので、家を貸してもらえない。
・全ての取引は現金のみ。掛けは一切不可。

これは私が実際に体験したことです。
法人化して3年くらい経たないと社会的信用は戻ってきません。
開業なんかした人よりも、企業にきちんと所属している社会人1年目の人の方がよっぽど信用も高いのが現実なのです。

結局どっちが良いのか?

以下、私なりの「開業すべきか、とどまるべきか」の結論です。

数年間、社会的な信用がなくなっても大丈夫。
当面、報酬がなくなる可能性があることを理解している。
指導者がいないため、ビジネス面での成長スピードが落ちることも理解している。
それでも実現してみたい「理想のお店のビジョン」が明確にあること。

こんな方は思い切って開業してみたら良いのではないでしょうか。
私個人の経験ですが、後悔することはないと思います。

資金的な心配のある方は私たちの起業支援にご相談ください。
(↑これは宣伝です)

一方、上の条件が当てはまらない方はとどまった方が良いでしょう。
開業すること自体は大した事じゃありません。
いつでもできます。

開業してしまうとビジネススキルの成長スピードが落ちるため、もし再び企業に所属しようとした時に同世代と比べてかなりの不利となるでしょう。

「会社に所属してしっかりとスキルを磨く」と決める事も勇気ある決断だと思うのです。

以前所属していた会社の一コマ。
実際は開業するよりも、企業に所属していた方がビジネススキルは身につくのです。

-開業前, 開業後

© 2024 辻本誠事務所