私たちの1号店が駅から徒歩8分だったと言うのは何度も書いてます。
でも、「駅から徒歩8分」なんて、果たしてお客さまは来てくれるんでしょうか?
創業者は必ずしも恵まれた環境からスタートできる人ばかりじゃありません。
そんな時こそ、知恵の見せ所なわけです。
そこで、私たちが集客の柱として考えた、小手先のテクニックが2つ。
①「徒歩8分」と書くと遠く感じるので「ダッシュで2分」と表記する。
②駅から遠いことを武器にするために「隠れ家ダイニング」を名乗る。
コストゼロで、立地の不利を武器にしようとしたのです。
「ダッシュで2分」の効果は?
先に結論を書きます。
「ダッシュで2分」はわずかですが効果がありました。
使ってくれたお客さんがネタにしてくれて、知り合いにも「ダッシュで2分」と紹介してくれたのです。本当に駅からダッシュしてきてくれる人もいました。
まぁ、正確にはダッシュで2分50秒くらいなので、2分で着くわけないんですが(笑)。
今、こんな嘘ついたらいけませんが、当時は創業メンバー4人しかいなかったので、結構テキトーな部分があってもお客さまに許されている所があったのです。
「隠れ家ダイニング」は大失敗
そして、問題だったのは「隠れ家ダイニング」と名乗ってみたこと。
これは大失敗でした。
駅から徒歩3分くらいで「隠れ家」を名乗ればカッコ良かったのかもしれませんが、私たちの店は何と言っても駅から8分。
あまりに隠れ家すぎて、全然お客さまは来てくれませんでした。効果ゼロ。
それでもお客さまに来ていただけないと私たちが生活できないので、駅前まで行って「隠れ家ダイニングでーす」と言ってチラシを配る始末。
隠れ家のはずなのに、駅前で大声で宣伝してました(笑)。
立地の不利は続く
真冬の寒空の下、4人交代でせっせと宣伝した甲斐もあり、「今から行ってみるよ!」と言ってくれる方も結構いました。
でも、立地の悪さは私たちにさらに追い打ちをかけてきました。
あまりに駅から遠すぎて、お店に向かう途中でお客さまが諦めてしまうのです。
または、あまりに暗い夜道を歩かなければいけないので不安になってしまったのでしょう。
「今から行ってみる」とお店方向へ向かってくれた方を見送って、10人中1人が来てくれればラッキー位の打率でした。
当時はガラケー全盛時代。
Googleマップなんて便利なものもなかったので、お店にたどり着くには、私たちが渡した小さな白黒印刷のチラシだけが頼りだったのです。
不安になってしまうのも無理がありませんでした。
隠れ家だけどお客さまをキャッチする
どんなに駅前で頑張って宣伝しても、立地の不利は解決できず。
最終的には、駅前で飲みに行きそうな人を探して「キャッチする」という強硬手段に出ました。
キャッチして、お店に向かう途中で不安にならないよう、一緒に歩いてトークで盛り上げるのです。
ご来店いただいた後の満足度には自信があったので、お店の扉までたどり着ければ良かったのです。もはや全く「隠れ家ダイニング」ではなくなっていました。
さらに、お店の厨房の中には4人それぞれのキャッチの実績グラフを貼って競争意欲のアップ。
「営業職辞めたのに、また個人成績グラフかよ(笑)」と、自分で苦笑してました。
何と言っても開業成功の最優先事項は立地
以前書きましたが、結局この1号店が軌道に乗るのは、この頃から1年半後です。
何で延々、1号店の集客の苦労を書いたかと言うと、立地の重要性を書きたかったのです。
「今だったらsnsとか使えば、立地が悪くたって集客できる」
と考える方もいるかも知れません。
sns集客についての考えはまた機会があった時に書くとして、正直立地の悪さはsnsでカバーできないと思っています。
「立地は悪いけど、オシャレな内装」
「立地は良いけど、そこそこな内装」
運転資金が2年分もあれば、悪い立地で勝負しても良いと思います。
でも、現実は6ヶ月〜1年以内に運転資金が底をつく場合がほとんどでしょう。
悪い立地で安定したリピーターだけで生活できるようになるには1年じゃ足りません。
もし、これから開業を考えている方で「内装と立地」のどちらに資金を使うのか考えていらっしゃる方がいるのであれば、間違いなく立地に資金を使うことをお勧めします。
内装は後からでも追加で投資できますが、立地は追加投資できません。
そして、どんな集客方法であれ、効果が大きいのは立地が良いお店です。
最近はやたらsns集客が最先端マーケティングのように解説しているコンサルタントがいますが、現実は違います。
私たちのような、無駄な苦労をしたくないのであれば、多少狭くても立地の良い物件にこだわってお店を探してみて欲しいと思っています。
私たちの失敗が皆さんの開業の助けになれば嬉しいです。