開業後

15年間で唯一の撤退事例から考える「物件を決める際に気をつけるべきこと」とは?

飲食店の開業を考えた時、一番の心配事と言えば「うまくいかなかったら、どうしよう?」という事ではないでしょうか?

私たちの場合は、楽観的な人間が集まって始めてしまったので心配は全くしてませんでした。その代わり、楽観的に考えすぎて、開業後に大苦戦してしまったという訳です。

1号店の開業後は、このサイトに綴っている通り、色々大変なこともありましたが、現在は創業15年で26店舗の出店という結果。
26店舗の内訳を書き出すとこんな感じです。
・直営にて営業中 18店舗
・業務委託により営業中 5店舗
・業務委託オーナー募集中 1店舗
・閉店 2店舗

これから開業される方が気にされるのは、やはり「閉店した2店舗の原因」だと思います。

「開業するなら絶対に失敗はしたくない」
という方のために、今回は私たちが閉店した店舗について書いてみます。

1店舗は老朽化、そしてもう1店舗は...

2店舗閉店、と書きましたが、そのうちの1店舗は私たちの1号店。
このサイトでも散々苦労話に出てきているお店ですね。

閉店理由は「老朽化と立地」。

「創業の原点である1号店は残すべき」という議論もかつてありましたが、もともとかなり年季の入った建物だったこともあり、閉店することを決定。
創業からの数々の思い出が詰まったお店でしたが、役目を終えたという感じでしょうか?
1号店は納得の閉店となりました。


そして気になる、もう1店舗の閉店理由。
これから開業される方に参考にしていただきたいのはこちらの方。

この店舗の周辺は人通りも多く、新築で好立地。
駅の乗降車数も、当時の私たちの中では最大規模。
お店を軌道に乗せるノウハウもバッチリ。

こんな好条件のお店が閉店することになるとは、全く予想していませんでした。
では、なぜ閉店することになってしまったのか?

閉店理由はズバリ「大家さんと良い関係が築けなかった」こと。
これに尽きます。

「大家さんとの関係」は重要な出店要素

この店舗、閉店してすでに3年が経っていますが、ネットにまだ口コミが残っていました。改めて見てみると、嬉しいことに、ほとんどが高い評価をしてくれてます。

お店の運営に関わったスタッフがみんな頑張ってくれていたんだな〜、と分かります。

それでも撤退を決めた理由が「大家さんとの関係」。
とは言っても、どっちが悪い、とかを言いたい訳ではありません。

考え方は人それぞれ。
この店舗の撤退は大家さんが求める契約者(私たち)の条件と、私たちが物件に求める条件が合わなかったのです。

私たちの会社が新しく出店する場合、最低1500万円くらいの費用がかかります。
当然、投資した分を売上として回収しなくては、会社は成り立ちません。

でも、この店舗。
お店の看板を出すことに対して、ほとんど許可を出してもらえなかったのです。

お店の看板が出せなければ、人通りが多くても気づいてもらえません。
当然、売上も立たない訳です。

それでも何とか粘って7年間営業を継続しましたが、ついに断念。
15年間、26店舗を出店してきた中で、唯一の本意ではない撤退となりました。

推測になりますが、多分大家さんは出店したお店が繁盛するかどうかよりも、自分のビルの外観を新築のままにしておきたかったのだと思います。
こればっかりは諦めざるを得ません。打つ手なしです。

どんな大家さんかは聞いておいたほうが良い

これから開業される方が物件を契約する場合、相手は大家さんではなく、その物件の仲介会社になります。

出店するオーナーと、大家さんの間に入って契約をまとめるのが仲介会社。
つまり、契約してお店ができるまで、大家さんと全く顔を合わせないケースもある訳です。

ただ私たちが撤退を決めたケースのように、いざ内装も全部完了してオープンしてから、大家さんに色々ダメ出しをされる可能性だってあるという事です。

物件を決める際は、立地や家賃にばかり目が行きがちです。
でも、物件の募集条件に出てこない大家さんの情報、

・飲食店に好意的な印象を持っているのか?
・出店した店舗を一緒に応援してくれる人なのか?
などは必ず仲介会社に聞くことをお勧めします。

私たちの唯一の撤退事例が、これから開業される方の助けになれば嬉しいです。
残念ながら撤退することとなった店舗。
ローカウンターの居心地が抜群の良いお店でした。。

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