起業する前に所属していた会社を辞める時、当時の役員の方にこんな事を言われました。
「辻本、成功するまでは絶対に会社に顔を出すな。」
「成功したら、挨拶しに来い。」
この言葉が何を意味しているのか、当時はよく分かりませんでした。
「辞めたら、もう甘えるんじゃない」という意味なのか?
実は、今でも本当の意味はよく分かっていません。
「役員さん、冷たいこと言うな〜」と思ったのは覚えています(笑)。
ただ私、もともと頭はあまり良い方ではないので、素直に従うことにしました。
甘えることもできないので、前の会社のことをあまり振り返らないようにしたのです。
前職の経験が活かせないメリット
私の前職は、人材関係の会社の営業職。
そして、起業したのが飲食店。
そもそも業界が全くの畑違いだったので、前職をあまり振り返る必要がなかったのも事実。参考にしようにも、参考にならないのです。
結果的に、前職の経験が活かせないので、創業当時に多くの苦戦を強いられました。
ただそのおかげで、良かった点も実はありました。それは、
「前職の経験が参考にならないので、自由にモデルの発想ができた」こと。
飲食店のノウハウが全くないので、0からモデルを考えることが出来たのです。
飲食経験がなくて、創業時に苦労した点はデメリットかも知れません。
でも、前職の経験に因われずモデルを自由に作ることが出来たというのは、未経験のメンバーばかりが集まった事の最大のメリットでした。
振り返っていたら前職は超えられない
創業時に前職の経験を参考にする方は多いと思います。
むしろ、私たちのように全くの異業種で起業する方が稀ですね(笑)。
私たちの場合は、前職を参考にしたくてもできませんでした。
ただ、もし同業で起業したとしても、いざ退職した後は前職を振り返って参考にするのは止めたほうが良いと思います。
なぜかと言うと、「自分で事業のモデルを考える力が身に付かないから」。
「どうやって集客するのか?」
「どんなモデルならリピートしていただけるのか?」
「人気メニューはどうやったらできるのか?」
起業すると、アイデアが出てこなくて苦しい時があると思います。
そんな時でも、安易に前職を参考にしたりせず、自分たちでアイデアが出てくるまで考え続けて、試してみることをオススメします。
「アイデアは10個のうち、1つ当たればラッキー」なんて言われます。
困ったときに自ら考えず、前職を参考にしたら失敗する可能性は低いでしょう。
でも、それを続けている限り前職を超える会社を作ることもできませんし、起業した意味もないと思うのです。
起業することの愉しさの1つは、チャレンジできる自由があることです。
そんな自由を求めて起業する方も多いんじゃないでしょうか?
ただ、いざ自由になってみたら失敗が怖くて、前職と同じような事をしてしまう。
冒頭に書いた、役員さんが言った言葉の本当の意味は分かりません。
でもひょっとしたら、前職のモデルばかりに頼って、チャレンジしない会社になってしまわないよう、敢えて突き放すような厳しい言葉を言ってくれたのかな〜、と今はプラスの意味で考えるようにしています。
「起業したら、前職は振り返らない」
これが、起業して成功するために必要な要素の1つなのだと思います。