開業後

マスメディアとの距離感を考える

未経験で飲食店を開業して、ようやく2店舗目を出した頃。
1号店に嬉しい電話がかかってきました。

用件は、「1号店をテレビの撮影で使わせて欲しい」との事。

詳しく聞いてみると、何と某大手テレビ局の番組で、当時若い世代にとても人気のあった、よしもとの芸人さんが司会のテレビ番組。お店の紹介もちょっと入れてくれるとの事。

「ついにマスメディアも俺たちのお店の良さに気がついたか。。」
なんて、当時は創業メンバー4人で浮かれていたものです(笑)。

嬉しいことに、その後もテレビと雑誌でいくつかのお店を紹介をされましたが、ある思いがあって2009年以降はお店の紹介や撮影での利用をお断りすることにしました。

今回は、そんなマスメディアとの距離感について実際の体験を書いてみたいと思います。

テレビの宣伝効果は絶大だけど...

2000年代前半〜中頃、当時はスマホもなく、映像系の媒体と言えばもっぱらテレビ。
テレビでの宣伝効果は絶大でした。多分、Youtubeやスマホなどが普及した現在よりもテレビを見ている人も多かったんじゃないかと思います。

テレビで放送されるや、次の日からご新規のお客さまに沢山ご来店いただけました。
当然、お店の売上は一気に上がります。

「やったぜ!」

なんて喜んでいたのも束の間。
同時に心配なことが起きていました。

お店が小さいので、一気にご新規の方にご来店いただくと、今までずっと使っていただいていたリピーターの方が入れなくなってしまうのです。

ようやく席をご用意できたとしても、店内はバタバタ。
一番反響があった頃、私はお店に出ていなかったため社内のメンバーから聞いた話ですが、かなりのリピーターの方のご来店をお断りしたようです。

ローカル駅で飲食業を経営する場合、売上の大部分はリピーターの方によって作られます。メディアで紹介された事で、リピーターの方の満足度を下げてしまっては本末転倒な訳です。

これは、当時お店を運営していた私たちの問題でしたが、メディアで紹介してもらう事のメリットと、リピーターの方の満足度を高めることの両立ができなかったのです。

さらに、営業時間中の撮影はお店の運営に少なからず影響が出てしまいます。

テレビや雑誌で自分のお店が紹介されることはとても嬉しかったのですが、何と言ってもお店を支えていただいているのは地域のリピーターの方たち。

結果、メディアに紹介していただくことはお断りすることに決めました。

メディアの反響をコントロールするのは結構難しい

スマホの普及でテレビ離れや、雑誌離れが進んでいると言われる現在。
メディアで紹介されても、昔ほどの反響はないかも知れません。

ただ、自店舗のwebサイトやチラシなどとは異なり、マスメディアの反響は予測することが難しく、ご来店いただく人数を読み間違えるとお客さまの満足度を下げることになりかねません。

開業して間もない頃は利益を出すのも難しい時期が続くこともあると思います。
そんな時、メディアへの露出はとても魅力的な宣伝に見えるのは事実。

でも、そんな時こそ短期的なご新規の集客に目を奪われることなく、目の前にいるお客さまに真摯に接客して、「また来たいな」と思って頂けるサービスを提供し続けることこそが大事なんじゃないかな〜と思うのです。

以上、これから開業される方の参考になれば嬉しいです。
知人にテレビでお店を紹介してもらった時の一コマ。
この時は反響がすごくて嬉しかったですね〜。知人に感謝。

-開業後

© 2024 辻本誠事務所