開業後

チャレンジをすべき時期の見極めは慎重に

2006年3月。
創業以来続いていたドタバタも少し落ち着き始め、4号店を出店することにしました。
この時点で1号店から3号店は全て軌道に乗りはじめており、4号店は少しチャレンジをすることにしました。

それが「都心のバーと同等のカクテルと空間」というこだわり。

本格的なバーテンダーの経験者が入社し、ちょうど勝負に出ても良いくらいの経営状態だったため、内装は思い切ってデザイナーに手がけてもらい、一気にうちの会社のブランドを都心のバーと同等のレベルへと引き上げようとしたのです。

創業メンバーのいない店舗

起業して3年半。
素人4人で始めた会社がついにデザイナーに仕事を依頼できるくらいの会社になった事で、少し浮かれていたのかも知れません。

ある大事なことを見落としていたのです。
それは4号店が初の「創業メンバーのいない店舗」となる事でした。

4店舗目の出店時、私は全店舗のマーケティングを担当する仕事をしていたため、実質4号店の事業計画は社員が作成する流れになっていました。

「社員が新店舗の事業計画を作る事ができるのも、権限委譲の表れだ」

なんて当時は役員ぶっていましたが、今から思えばただの丸放り。
創業メンバーが初めていなくなる店舗の事業計画を社員に任せるなんて無謀でした。

理想と現実

そして、ついに4号店のオープン。
都心のバーと肩を並べるべく、こだわり抜いたドリンクのラインナップ。
そして、コストをかけた内装。

「新しいチャレンジだけど、まぁ大丈夫だろう。」
私は楽観的にそう考えていました。

でも、この考えが間違っていたことはオープンして1ヶ月も経たないうちに分かりました。
3号店はオープン時に混みすぎて問題が起きましたが、4号店はオープンして1ヶ月経っても軌道に乗る気配が見えてこないのです。さらに本格的なドリンクのラインナップを揃えたことが裏目に出て、原価の高騰、大量のロスが発生し、大赤字のスタートとなってしまいました。

結果的に、この4号店は後々業績を回復させ、しっかりと利益を確保できるお店となります。ただ、今から思えば創業メンバーがいなくなる初めての店舗の出店に、新しいチャレンジをするというのはリスクが高すぎる判断だったなー、と思います。

1人で創業した場合は2号店。
2人で創業した場合は3号店。

私たちの経験からすると、この創業メンバーが店舗にいない状態が出てくるタイミングには、新しいチャレンジをしないで従来の成功モデルをできるだけ忠実に実行して店舗を軌道に乗せる。

私たちの場合はこの事に後から気が付きましたが、事前に知っておけばもっと良い先手が打てていただろうな〜、という思いがあったので書きました。

皆さんが店舗展開を考える際の役に立てば嬉しいです。


初のデザイナーズ店舗だった4号店。
お金をかけることよりも、もっとやるべき事があったと反省する事になりました。

-開業後

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