2005年の3月ごろ。
1〜2号店も無事軌道に乗り始め、3号店の準備に入った頃。
創業メンバー4人でアツい議論を交わしていました。
当時の議題はもっぱら「正社員採用かアルバイト採用か?」という内容。
ご存じの方も多いと思いますが、飲食業界は約9割がアルバイトで、社員は約1割。
10人いたら社員は1人だけという業界。
なぜアルバイトが多いのかと言ったら、その方が人件費削減ができるからでしょう。
そして、当時うちの社内は創業メンバー4人にアルバイトが4〜5人程度。
無難に考えれば、アルバイトの追加採用が妥当な選択。
でも結局、長い議論の末に正社員を採用することにしました。
社員の人件費はコストか、投資か
当時、採用を検討するにあたって議論していたのは、こんな内容だったと思います。
「社員の方が成長する見込みがあるけど、雇用にコストがかかる」
「アルバイトが多いと中期的な計画が立てられない」
「でも、アルバイトを採用するくらいの予算しかない」
将来のことを考えたら絶対に社員は採用したいけど、現状からしたら社員を雇用する企業体力がない、という訳です。
まさに「鶏が先か、卵が先か」状態。
そして、長い議論の末に社員採用という決定にたどり着いた、最終的な考え方。
それが「正社員採用は投資である」という事でした。
少し語弊があるかも知れませんが、アルバイトの雇用にかかる費用というのは「コスト」。どんなに良いアルバイトの子でも、基本的には他にやりたい事がある場合がほとんどなので、長期的な計画には組み込むことは難しいでしょう。
そして、社員の雇用にかかる費用は「投資」。
基本的にはアルバイトの子よりも長く勤続するケースがほとんど。
毎月の人件費負担は増えるけど、その対価として大きなリターンを目指そうという事です。
これ、書くのは簡単なんですが、実行するのは勇気がいるんですね〜。
失敗したら、毎月の負担だけが大きくなるギャンブルのようなものです。
前職では、企業の社長さんたちに正社員採用の素晴らしさを偉そうにプレゼンしてましたが、いざ自分が採用する立場になるとなかなか踏ん切りがつきませんでした(笑)。
正社員採用の効果はどうだったのか?
さて、悩みに悩んで決断した正社員採用。
先に結果を書きますと、大正解でした。
初めて採用した正社員は3人でしたが、彼らと一緒になって飲食業というものを真剣に考えていくことで、新しい企業文化のようなものができていきました。ビジネス本でよく、「家業から企業へ」なんていう表現がありますが、正にそんな心境でした。
かなり背伸びをした投資でしたが、投資に賭けてみた甲斐がありました。
この経験が現在の私たちの特徴でもある、「正社員が多い会社」の原点になりました。
初めての社員採用から13年。
現在、うちの会社は正社員比率が95%以上になっています。
社員の教育には時間がかかります。
飲食業で経営の効率だけで考えたら、私たちの会社は非効率な会社となるでしょう。
ただ、経営の効率だけを追求した会社にはなりたくないというのが私たちの考え方。
何というか、味気ないというか面白くないのです。
多少時間はかかっても、共に喜べる仲間たちと一緒に会社を成長させていきたいな〜、というのがうちの会社の特徴であり、ちょっと変わったところなのです。
最後に。
あえて当時、社員を採用したデメリットを挙げるなら、飲食未経験の私たち4人よりも飲食経験豊富な社員たちだったので、よく社員に怒られたことですかね(笑)。