飲食店を開業する時の最重要事項とも言えるのが「物件探し」と「融資申請」でしょう。
ざっくりですが、この2つの関係を順番で表すと
↓
契約を希望する物件の見積り
↓
見積りを元に融資申請
↓
融資が下りたら、物件の契約
という流れが一般的だと思います。
でも、この順番を間違えてしまったらどうなるのか?
実際に私たちが犯したミスを書いておきます。
これから開業される方はくれぐれも同じ間違いをしないでいただきたいと思います。
融資が決まると見込んで物件契約
今の時代、開業時に物件契約と融資申請の順番を間違える人なんていないでしょう。
「飲食 開業 物件 融資」
とかで調べればたくさん出てきますからね。
私たちも同じです。
今ほどネットに情報は載っていませんでしたが、色々調べつつ申請手続きを準備。
1号店の融資は慎重に進めた甲斐もあり、無事融資が下りました。
(その融資も悪徳業者に持ち逃げされましたが...)
私たちがミスを犯してしまったのは、2号店の出店時。
当時の流れと予定はこんな感じでした。
2003年5月に法人を設立
2003年8月に2号店を開業(予定)
業績は厳しかったものの法人設立までは無事達成。
1号店では4人の人件費がまかなえていない状況だったため、法人化してからすぐに2号店を出店する必要があったのです。
2003年6月、物件は思ったよりも早く見つかりました。
駅から徒歩1分、商店街の中にある2階の店舗で60㎡弱。
開業予定の8月までは1ヶ月ちょっとしかありません。
4人で見に行って、すぐに「ここにしよう!」と決定しました。
1号店の立地で苦戦を強いられていたこともあり、2号店の物件は絶対に他社に取られたくないと焦りました。融資の申請もしていないのに、物件を契約してしまったのです。
融資却下と空家賃の2重苦
当時、何でそんな無茶な事をしたのかというと、良く覚えていないというのが事実。
うろ覚えではありますが、個人事業主として受ける融資と、法人として受ける融資は別々の枠があると思っていた記憶があります。
でも、間違っていました。
国金(当時は国民生活金融公庫という名称)に再度、融資申請をするも、すでに個人事業主として融資済みとして却下されてしまったのです。
その後も融資の対象になりそうな所を探して申請するも全て却下。
2号店の出店で生活が楽になるどころか、空家賃の発生でさらに苦境に追い込まれました。
このまま融資が決まらなければ、大事な2号店の契約初期費用を捨てる事になります。
そうなれば、2号店の出店資金は自己資金を貯める事になり、あと1〜2年は報酬なしで働かなくてはなりません。
これ以上の報酬なしは現実的には無理。
法人を設立してすぐに存続の危機に陥りました。
社長、面接を受ける
※以下はうちの代表の記憶になります。
融資が決まらない日々が続きましたが、ようやく話を聞いてもらえる窓口が見つかります。区の産業融資制度(だと思う)がそれでした。
ただ、融資には条件がありました。
「区が指定する中小企業診断士の面接を受けなさい。」
という条件。
起業したのに、まさかの面接です(笑)。
後日、1号店にてうちの代表が面接を受けました。
1号店の実績と2号店の事業計画を猛烈にPR(したと思います)。
結果、何と800万円の融資が下りました。奇跡です。
中小企業診断士の診断(面接)結果は今でもよく覚えています。
・1号店の実績に基づいた詳細な経営計画
・独自の会員制度による強い集客システム
・飲食店としては独創的なメールマーケティング
・何よりも強固な創業メンバー4人のパワー
こっちが恥ずかしくなるくらい褒めちぎられてました(笑)。
結論:焦っても絶対に物件を先に契約してはいけない
結局、2ヶ月遅れの10月に2号店が無事オープン。
何とか解散を免れることができました。
でも、開業の遅れと空家賃の発生だけで約600万円を失った計算になります。
さらに、あの融資が決まっていなければ多分、今うちの会社はないでしょう。
融資申請と物件契約。
順番は分かっているつもりでも、私たちのように、目の前に理想の物件が出てきたら契約を焦ってしまう人もいるかも知れません。
でも、やっぱり焦って契約してはいけません。
万が一、融資が下りなかった場合は、融資してくれる所を探している間に空家賃を払い続ける事になります。最悪、どこも融資してくれない可能性だってある訳です。
もし、これから開業を予定している方が当時の私たちと同じ状況なのであれば、創業時に無駄なお金は一切使いたくないはず。
融資申請の間に物件を他社に取られてしまったとしても縁がなかったと諦めるしかありません。大切な創業資金を無駄に失うよりましでしょう。
融資申請と物件契約。
私たちの失敗が参考になれば嬉しいです。