「まだ見ぬ仲間たちと一緒に盛大なビールかけをやりたい!」
これは、創業メンバー4人が創業後の目標としていたうちの一つでした。
これから飲食店の開業を考えている方で、将来は複数店舗を経営していきたいという方もいらっしゃると思います。複数店舗を経営したいという事の目的は人それぞれでしょう。
「とにかくお金を稼ぎたい」
「事業を成功させることで自尊心を満たしたい」
「仲間を増やすことで喜びを共有したい」
などなど。
私たちの場合、「会社を成長させ雇用を増やすことで、まだ見ぬ仲間たちと出会い、そして共に会社の成長をビールかけで祝いたい。」というのが目標の一つだったのです。
そして、その目標達成は1号店の出店から5年後にやってきました。
祝い事は盛大に
2007年、当時は社員数が25人くらい(大体です)。
店舗数は6〜7店舗。
社員が各店舗別々で働いていることもあり、なかなか皆で顔を合わせる機会もありません。
そこで、ビールかけ旅行には社員が一同に集まることもあり、会社全体の士気向上という狙いを持たせました。
会場は地方の旅館を全て貸し切りにしてもらい、ビールかけをする会場には旅館の方たちにビニールシートを完備してもらい準備万端。
前年度の全社目標達成を祝って、盛大にビールかけを行いました。
あまりに盛り上がっていたため、地域の方たちが撮影に来てました(笑)。
ビールかけをしている時の社員たちの楽しそうな顔は今でもよく覚えています。
その後も希望する社員たちが集まって盛大に飲み会。
皆が一丸となっている事を実感し、士気向上という目標は達成されたように思えました。
ビールかけの一コマ。
盛大な盛り上がりを見せ、士気向上間違いなしと思えました。
待っていた2重の負債
全員がビールかけ旅行を満喫し、翌日から気分を入れ替えて全店舗営業開始。
当然ですが、全員で旅行をするために旅行中は全店舗が閉店。
売上は一切上がりません。
さらに全員の旅行代の支払いもあり、現金は急激に減っています。
急いで売上を立てる必要がありました。
でも、残念ながら旅行から帰ってきてからしばらく、売上は全く伸びませんでした。
何というか、正確に表現するのが難しいのですが、燃え尽きてしまったような雰囲気が全社に漂っていた記憶があります。
当然ですが、ビールかけ旅行の名目は前年度の達成祝い。
士気向上というのは創業メンバーが勝手に期待していただけ。
「ビールかけをして、会社に一体感が生まれれば業績が伸びる」なんて、根拠のない甘い考えをしていました。
旅行による現金の支出に加え、全社の売上低迷が同時に襲ってきて、旅行後の1ヶ月で会社は一気に大幅な赤字に転落してしまいました。
お金を使っても士気は上がらない
幸い、旅行後から決算までに業績を戻して赤字は免れましたが、ビールかけ旅行が大ダメージだったことは否定できません。
当時は、全員が一丸となって盛り上がれば士気は高まると思っていました。
盛り上がるためにはお金を使って、そういう機会を設ければ良いと考えていたのも事実。
でも、よくよく考えれば仕事で成果をあげようと思う動機は人それぞれ違う訳です。
会社全体で盛り上がれば業績が良くなるなんて思うのは、創業メンバーの勝手な思い込みでしかありません。
これから飲食店を拡大していきたいと思っている方は、いずれ社員の士気を向上させたいと思うときが来るかも知れません。
そんな時はぜひ、社員が仕事で成果を上げようと思う動機は人それぞれ、全社の一体感を演出しても会社の業績は向上しない、という私たちの失敗談を思い出してもらえたらと思います。
最後に...
実は、ビールかけ旅行を翌年も試してみましたが、前年同様の最悪の業績になりました。。やはり、旅行の盛り上がりと会社の業績は連動しないようです。
旅行よりも、個々の社員が力を伸ばしやすい環境に投資をするのが良いと思います。