開業後

会社の分岐点となった幻の3号店、高田馬場店

起業すると毎日が判断の連続になります。
指示を出す上司がいないため、自分たちで決めなくてはいけない事が毎日山積みなのです。

そして、そんな判断ばかりが続く毎日の中で、その瞬間の何気ない判断が、後から振り返ってみると会社の大きな分岐点になっていたりすることもあるようです。

3号店は高田馬場、4号店は新宿だった

私たちの3号店は西武池袋線の富士見台駅という所にあります。
以前書いた通り、オープンからご来店ラッシュが続いたお店です。

でも、この3号店、実はもともと高田馬場に出す予定でした。

なぜ、高田馬場だったのか?
それは4号店で新宿に進出するための足がかりにするためです。
なぜ、新宿だったのか?
それは単純に新宿に出店することが成功者のストーリーのように感じていたからです(笑)。同世代の知人たちに対する見栄もあったと思います。

苦戦が続いた1〜2号店も軌道に乗り、3〜4号店の出店で一気に勝負に出ようと思ったのです。
新宿進出への足がかりとなる予定だった高田馬場。
物件はこの先、徒歩5分ほどの場所にありました。(Goole Mapより)

とは言っても、2店舗がようやく軌道に乗り始めたばかりで、会社の財務はかなり厳しい状況。「高田馬場」というエリアに出店したいけど、手元の現金も乏しく、融資もほとんど見込めなかったのが当時の私たちの実状。
無謀だと知りながらも、高田馬場で格安物件が出てこないか淡い期待を抱いていました。

すると、意外にも高田馬場にそんな格安物件が出てきてしまったのです。

詳しい家賃は覚えていませんが、かなりの破格だったと思います。
駅からちょっと離れたところながらも、近くには大学もあり、学生たちの通りが絶えないのは、集客に苦労してきた私たちには魅力的でした。

しかし、格安物件だけあり、やはり問題点がありました。
あまりに築年数が経っているため、補修して内装工事をするにはかなりのお金がかかると予想されました。また、高田馬場には出店したいけど、さすがに立地も微妙すぎるんじゃないか?という点です。
出店しようとした付近、この隣が物件でした。
(Google Mapより)

見栄よりも戦略を選ぶ

この高田馬場の物件。
契約するかどうか、かなり判断に迷っていた記憶があります。

念願の高田馬場には出店できるけど、成功できるかどうかが微妙なのです。
冷静に考えれば、無理して立地の微妙な場所に出店するメリットなんてありません。

ただ、当時の私たち(私だけかも)は、1〜2号店を軌道に乗せるのに苦戦したこともあって、「俺たちはこんなもんじゃない!」みたいな虚栄心があったのも事実。

会社の実態を無視して、無謀なチャレンジをしようとしていた訳です。

結果的に私たちは失敗のリスクが高すぎると判断して、この物件を見送りました。
「また、高田馬場で物件が出てくるのを待とう」という事です。

結局、この直後に富士見台の物件が出てきて、私たちは富士見台に出店します。

高田馬場の物件を待ったほうが良いのでは?という思いもありましたが、1〜2号店の立地を考えたら、実際の運営面では高田馬場よりも富士見台の方が圧倒的に有利なのです。

一般的に、ドミナント戦略と言われるやつです。
目先の小さな見栄は捨てて、飲食業としての基盤を作っていくことに決めました。

経営に「もしも」はないけれど...

高田馬場の物件を見送った時、「また似たような物件が出てくるでしょ」と思っていました。

でも、あの時の判断が私たちのその後の出店計画を大きく変えていくことになりました。
都心がある東エリアへ出店を展開するよりも、本社を中心に円状に出店していくドミナント戦略に切り替えるきっかけになったのです。

ただ、あの時の判断は間違っていなかったと思っています。
むしろ、あの時無理して高田馬場に出店していたら、会社は存続していないかも知れません。その可能性はかなり高かったと思います。

今なら高田馬場と新宿に出店することもできるでしょう。
魅力を感じなくなってしまったので、今のところ予定はありませんが。。

「判断しなければいけないけど、確信が持てない。」

開業したらそんな事ばかりだと思います。
私は未だにそんな感じです。

「もしあの時〜だったら」なんて振り返っていたらキリがありません。
決めたら前に進むしかありません。

でも、そんな事を書きつつも、「あの時高田馬場に出店していたら、今どうなっているんだろう?」と、ふとした時に思ってしまう、根っからの見栄っ張りな私だったりするのです。。

これから開業される方は、ぜひ私のように見栄を張って誤った判断に走らないよう、ご注意くださいませ。m(_ _)m

 

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