前回、2店舗目の出店のコンセプトについて書きました。
1号店のダイニングバー業態から一転、「ザ・バー」としてスタートしたのです。
フードがほとんどない、完全にドリンクメインのお店。
確か、ウイスキーはスコッチからバーボン、ジャパニーズまで幅広く揃え、ウイスキーだけでも当時40種類以上あったと思います。
私たち創業メンバー4人の狙いとしては、すでに1年ほど運営経験のあるダイニングバースタイルを捨ててでも、一気にバーとして高利益体質へと転換するのが狙いでした。
1店舗目とは比べ物にならない立地と内装の贅沢さ。
そして高収益モデルへのチャレンジ。
「これでやっと2店舗分の借り入れの不安は解消できる。」
4人はそんな風に楽観的に考えていたのです。
狙ったマーケットはすでに押さえられていた
「ドリンクメインのお店にして、高収益企業を目指す」
当時は上手くいく事しかイメージできず、4人で笑いながら皮算用をしていました。
しかし、実際のスタートは期待には全く届かない結果になりました。
そもそもフードがほとんどないため、早い時間帯の来店はほとんどありません。
これはある程度想定していたと記憶しています。
問題だったのは集客を見込んでいた深夜帯の来店。
バーなので、22時くらいからの来店を想定していましたが、オープニング当初こそ興味本位の来店があった様ですが、リピートしてもらえるお客さまの数が少なかったのです。
オープン後に知ることになりましたが、その街にはすでにバーとして認知されているお店が他にあり、ドリンクメインで飲食を楽しむ人達はほとんどがそのお店の常連さん。
私たちが狙っていたマーケットはすでに他店に押さえられていたわけです。
そのままバーを続けるという選択肢もありましたが、あまり得策とも思えません。
2店舗目はマーケットを読み間違えて、完全にスタートでつまづいたのです。
恋をして周りのことが見えなくなってしまうことを「恋は盲目」なんて言いますが、私たちの場合はお金の返済に焦りすぎて、完全に周りが見えなくなっていました。
「金は盲目」状態だったのです。
バーとしてスタートした直後の写真。
ドリンクメインを象徴するような青いライトが特徴的でした。
ダイニングバーに転換するも、時すでに遅し
正確な時期は覚えていませんが、確か2号店をオープンさせてからわずか1ヶ月ほどで、フードメニューのフルリニューアルを強いられる事態になりました。
バーと言うスタイルを捨てて、急いで本来のダイニングバーへと戻す必要があったのです。
ただ以前書きましたが、オープニングでミスをすると取り返すのは簡単じゃありません。
「バー」と認知されてしまったお店のイメージを変えるのは時間がかかるのです。
オープニングから約2年後、2号店は後々加入した社員やアルバイトの子たちの協力もあり、高収益を上げるお店となっていきますが、回復には長い時間がかかりました。
やはり、飲食店のオープニングは絶対にミスをしてはいけないのです。
ダイニングメインの業態に転換した後。
温かみのある雰囲気とメンバーの努力で、次第にお客さまも増えていきました。
創業の想いを忘れた代償
元々、私たち4人の創業メンバーが集まったのは、
「バー業界を適正利益にし、バーをもっと多くの方に使ってもらえる業態にする」
という想いがあったからです。
でも、私たちは2号店の出店時に早くもミスをしました。
「もっと多くの方に使ってもらえるようにする」という想いを掲げていたにも関わらず、利益優先のお店づくりをしてしまったのです。
「お客さま不在、自分たち中心」
そんな都合の良いコンセプトがうまくいくはずもありません。
2号店出店のつまづきは、それに気づかずに4人で利益優先に突っ走っていってしまった事に対する大きな代償と同時に、この後の出店に対する大切な教訓になりました。
「お客さま不在の店作りに利益なし」
私たちの失敗が、これから開業を考えている方の参考になれば嬉しいです。