開業前

創業メンバーに必要な条件とは?

飲食店を開業しようと考えた時、複数人での開業を考える方もいらっしゃると思います。
そんな時、開業時のメンバーってどういう風に選べばいいのでしょう?

仲の良い友人、調理経験豊富な知り合い、接客技術に長けた職場仲間、などなど。
選択肢は色々あるかと思います。

あくまで一例ですが、今日は2002年の創業時から現在まで、創業メンバーが離脱することなく会社を運営してくることが出来た私たちが、どの様にメンバーを決定したのか、そのプロセスを書いてみます。
創業メンバーの人選に悩んでいる方、少しでも参考になればと思います。
(※自身の経験を書いているため、参考にならない可能性があります。ご了承ください。)

実は昔の同級生

私たち創業メンバーの4人、どこで知り合ったのかと言うと小〜中学校時代。
うちの社内でも知らない社員の方が多いと思いますが、同じ学校の同級生なのです。

じゃ、当時からの仲良し4人で会社を始めたのかというと、そんな単純な話じゃありません。同級生が200人程度の学校だったので、それぞれがたまに遊んでいた程度。

4人で遊んだこともありません。
当時はお互い普通の同級生という程度でした。

卒業後は、そんなに会うこともなく、20歳まで過ぎていきました。

絶対に裏切らないという出来事

私たちメンバー4人が創業するきっかけになった出来事は21歳くらいの頃。
当時は成人式をきっかけに、よく会うようになっていた7〜8人の仲間がいました。

そんな仲間たちと集まるようになって約1年経った1996年12月。
現在うちの代表を務める同級生が、後に創業メンバーが決まるきっかけとなるイベントを提案してきました。

「1月1日にうちで新年会をやろう。97本のビールを用意しておく。」

新年にちなんで97本のビールを飲み明かそう、という企画。
この新年会には簡単なルールがありました。

「つらかったら途中で帰ってもOK、でも復帰はダメ。」
「ビールを全部飲み干すまでは家から出てはダメ。」
「最後まで残ってビールを片付けたものが勝ち。」

ピラミッド状に積み上げられたビール缶97本。
新年会と言う名の我慢比べ、みたいなものですね(笑)。
「絶対に帰ってはいけない新年会」という感じ。

言葉で書くと簡単ですが、1人抜ける度に残された仲間のノルマは重くなります。
何の罰もない単純な我慢比べですが、勝負事には負けたくない性分。
うちの代表が当時、そこまで考えていたとは思いませんが、
「自分を開放して、残った仲間に負担をかけるかどうか」という、人としてのスタンスが問われる絶妙なルールになっていました。

結果的に、この新年会は終了まで3日間続くことになります。
そして、最終的に残ったのが創業メンバー4人だったという訳です。

この新年会は翌年も開催され、前年同様4人が残ることになりました。

もちろんこの出来事があったからすぐに創業した、という事もありません。
これではただの仲良しクラブみたいなものです。

ただ、「このメンバーは苦しい時も裏切らない」という妙な仲間意識が芽生えました。

スキルとスタンス、どちらが大事か?

私はその後、学校を卒業し、4年ほど人材関係の会社で働きました。

人材会社だけあって、自社の人材を集めるのも上手く、質の高い人材が集まっていました。一緒に起業をするなら申し分ないスキルを持っている仲間たち。

当時、一緒に働いていた仲間を誘って起業しようかと頭をよぎったこともあります。
でも自分なりに考えた結果、どんなにスキルが高くてもスキルを重視した起業メンバー選びはやめようと決めました。
まぁ、誘った所で一緒に始めてくれるかどうかも分からないですが。。

やめた理由は「スキルは後から身につけられる」と考えたから。

飲食業に話を戻すと、飲食店の開業を考えている方にとって、調理経験やバーテンダー経験がある人は、魅力的な創業メンバーに見えるかも知れません。
ただ、飲食店の創業メンバーは料理やドリンクが上手なら良いのかと言うと、そんな事はないと思うのです。

スキルよりも創業メンバーに求められる要素は、「お店にとって困難となる時期が来ても絶対に逃げない」というお互いの信頼感。
困難を共に戦う、という強い意識が必要だと思います。

料理やドリンクは毎日しっかり勉強すれば、いずれ身につけられるでしょう。
でも、困難を目の前にした時にどういう対応をするのかは、これまで20年以上生きてきた中で決められた、スタンスのようなものだと思うのです。
これは、後から勉強して身につけるのは難しく、起業のメンバーを選ぶ際は、この「後から身につけられないスタンス」を重視して選ぶべきだと考えた訳です。

社会人としての実績はあったほうが良い

学生時代の新年会では4人が「お互い裏切らない」という信頼は芽生えました。
でも面倒な話ですが、お互いの信頼感だけでもお店はやっていけないのも事実。

スキル < 信頼感 < 社会人としての実績
分かりやすく書くとこんな感じでしょうか。(技術開発系の起業を除く)

信頼以上に求められるのは、社会人としてきちんと結果を出せる人間かどうかという事です。社会で結果が出ていない仲間同士の信頼感は、起業の何の役にも立ちません。

社会人になって3年後。
再び創業メンバー4人で集まり、それぞれが所属している会社で活躍できているのが確認でき、正式に4人で創業することを決めました。


創業メンバーを決める方法は色々あると思います。

でも、これでやれば絶対に成功する、という選び方はないでしょう。
複数人で集まって開業する場合、それぞれの事情が違うわけなので、当たり前です。

私たちの場合も、あくまで4人で開業し、15年変わらず経営を続けてきたという例に過ぎません。ただ、やはり起業をする際には、

・お互いの信頼感
・社会人としての実績

この2点はなるべくあった方が、開業後の解散リスクは低くできると思います。

3日間に渡る新年会から開放された後に撮影。(1997年1月3日)
ただの我慢比べでしたが、創業メンバーを決める思わぬきっかけになりました。

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