先日、私たちの開業支援にて新しくオーナーの募集を始めた店舗があります。
詳しい募集内容はこちらをご覧ください。
これから開業を考えている方へ向けて包み隠さず書きますと、今回募集となったこちらの店舗、駅から徒歩3分程度で私たちのグループ店舗の中では一番駅から離れたお店。
一般的に飲食店の成否で重要なのは、まず立地。
これは私たちの1号店が駅から徒歩8分で、嫌というほど苦労してきたので納得です。
ただ、駅から"ちょっとだけ"離れた立地というのは、アイデア次第で武器になる。
今回は、そんな体験談です。
「駅前立地で出店したいけど、開業する時に良い立地を見つけるのは難しいな〜」
「資金が限られているから駅前立地はちょっと厳しいかな?」
なんて思っている方に読んでいただければ、ちょっと勇気が湧くかも知れません。
成功した事例なので、例によって失敗談がご希望の方は他の記事をどうぞ(笑)!
「徒歩3分の立地」をどう捉えるか?
今回事例で挙げるお店は駅から徒歩3分。
この距離が近いと感じるか、遠いと感じるかは人次第でしょう。
ただ2009年当時、駅前立地にこだわって13店舗ほどを出店していた私たちにとって、徒歩3分と言うのは正直「ちょっと遠いかな?」という感覚。
そして、その当時、店舗の新店長として就任したのが、前回の記事で紹介した開業支援事業の新メンバーとなった中田。
1号店の徒歩8分という立地に比べれば圧倒的に駅に近いが、その他の直営店に比べると駅から遠い、という絶妙な立地ではありましたが、当時破竹の勢いで成長をしていた中田が店長を担当することで立地の不利は十分に補えるだろうと予想していました。
要は私たちの1号店同様、徒歩3分程度の立地であれば人材の魅力で売上をカバーできると考えた訳です。
徒歩3分を活かした意外な提案
ところが、中田が店長になって数ヶ月、雲行きが怪しい事が分かってきました。
売上が当初の予定を大幅に下回っていたのです。
・社内の規則に従い、忠実に決まったことを実行している
・店舗内におけるメンバーの結束も固く、店内に問題があるとは思えない
会社が求めていた内容を実行できているはずが、結果が伴わないという状況。
予想外の結果に店長の中田とマネージャー、役員2名(辻本含む)で緊急会議。
そこで、店長が出してきたのは意外な提案でした。
・リピーターともっと深く繋がるべく、オリジナルのノートを作成する
・リピーターの方が特別感を感じられる「ちょっと大人な雰囲気づくり」に切り替える
・リピーター重視に活動を切り替え、過去最高の利益を達成する
当時、私たちの会社が力を入れていたのは、まずは新規集客。
当然ですが、新規の集客なしにはリピーターの方も生まれません。
リピーターの方は当然店舗運営において重要でしたが、当時は3〜4ヶ月おきに出店していた事もあり、会社全体としては、まずは新規集客に力を入れようというのが全体的な流れでした。
そのため「新規集客よりもリピーターの方へ向けた活動を重視する」という店長の戦略が当時の会社の方針と逆だったのです。
店長が言うには、
「やはり駅前立地のお店と同じことだけをしていても売上は上がらない」
「駅からちょっと離れていることを武器にした特別感を出していきたい」
「現在は苦戦しているが、この方針でやらせてもらえれば売上を上げる自信がある」
との事。
正直なところ、この話を聞いた時は懐疑的に見ていた私ですが、本人の決意は固く、店長の意向に沿った活動を実行することに決定。
2009年、当時の会議で使われた資料。
リピーター重視の方針がどっさり書かれています。
公約通りの過去最高利益を達成
正確な期間は覚えていませんが、店長が主張した内容はすぐに実行に移され店舗の売上、来店数はじわじわ上がっていきました。
リピーターの方の数が着実に増えていたのです。
ここでポイントなのはリピート重視でありながらも、新規集客の活動も続けているという点。リピートの方だけに力を使いすぎると、いずれ売上は落ちていくため、新規の活動は欠かせません。
店舗の細かい活動内容までは書きませんが、リピーターの方たちが毎夜、このお店に行くことが楽しみになるお店作りに成功。
売上低迷による緊急会議から約半年で、何と他の駅前立地の直営店を抜いてグループ2位の売上を達成。店長が公約に掲げた過去最高利益も見事に実現しました。
徒歩3分程度なら立地を武器にできる
そんな訳で、気がつけば店長の手柄を偉そうに自分の事のように書いてますが(笑)、駅から3分程度の立地ならば、その地域に応じたビジネスモデルを考えれば、十分に勝てる店舗を作れると言うのが私の考え。
もちろん駅前立地の方が有利な事に変わりはありません。
ただ、初めて開業する時は駅前立地を確保できないことがほとんどでしょう。
そんな時は、今一度、自分が考えた店舗のビジネスモデルを出店する地域にカスタマイズして、勝てる店舗のモデルを考えてみると良いかも知れません。
今回は私たちの成功事例でしたが、私たちの体験談が少しでも、これから飲食店を開業される方の励みになれば嬉しいです。