「辻本!お前、いつまで企画書作っとんねん!」
これは、私が社会人1年目に所属していた会社の上司に怒鳴られた言葉です。
企画書とは、営業先の見込み客に提案するプレゼンツールの事。
「まだ7割くらいなんで、もう少し時間ください」と私。
「お前の企画書が7割だろうが10割だろうが受注に関係あらへん。さっさと次の仕事せいや!」
上司にとっては売上を最大化するために言った、当然の指示。
ただ、「売上を上げる」という事に対して経験の浅かった私は、無性に腹が立ったのです。
「売上上げたかったら、100%の完成度の企画書作るほうが大事だろーが!」
そんな風に心の中で反抗していました。
法人向けの企画書を飲食店に例えるなら、集客を目的としたツールといったところ。
お客さんにお店に足を運んでいただくためのツール。
例えば、看板やチラシ、ウェブ。
こういう集客に欠かせないツールを作成する時に大切なのはスピードか、クオリティか?
スピードを求める上司と、クオリティにこだわりたい私。
果たして正しいのはどっちなのか?ちょっと考えてみたいと思います。
これから開業を考えていらっしゃる方、ツール作成の参考にしてみてください。
自己満足と売上の関係
社会人1年目当時、上司はこんな事も言っていました。
「お前にとって7割の企画書を10割にすることは大事なこだわりかも知れない。でも、他人から見たらほとんど違いが分からない。100%の企画書を1週間で1つ作るよりも、70%の企画書を1週間で2つ作れ。」
上司の命令は頭では理解できるんですが、未完成度のものを人に提案するという事に納得がいかないのです。
ただ、当時はまだ昭和時代の名残りがある上下関係(笑)。
上司に反論するわけにも行かず、渋々、完成度7割の企画書で営業してみました。
結果は私の予想外でした。
企画書の細かい部分など、お客さんは見ていないのです。
むしろ、ほとんど見ていないと言っても良いかも知れません。
見ているところと言えば、大体の商品の雰囲気と値段の最終確認くらい。
上司の言うことが正しく、私のこだわりは全く求められていませんでした。
私がこだわっていた部分は、売上とは全く関係がなく、単なる自己満足だったのです。
お店の告知はとにかくスピード
何で20年も前の事をこんな所で書いたかと言うと、それだけ今の自分の仕事のスタイルに影響があった出来事だったから。
その後、自己満足の企画書作っていた時はビリだった営業成績が、こだわりを捨ててスピード重視の営業にしてみたら、一気に新規クライアント獲得数トップの成績になっていました。
さっさと上司の言うことを聞いておけば良かったです(笑)。
「売上を伸ばすには、スピードに勝る手段はない」とその時、確信しました。
こんな経験もあって、私たちが直営で運営しているお店の宣伝や、開業支援でお手伝いさせていただいているお客さんの宣伝ツールも、基本的にはスピード重視。
「もっと写真を美味しそうに見せたい」
「お店の紹介文をもっと工夫したい」
良いものを作ろうとする努力はとても大事です。
ただ、良いものを作ろうとすれば、それだけ時間もかかります。
とりあえず宣伝しない事には売上は上がりません。
細かいこだわりを表現したかったら途中で変えれば良いだけです。
まずは、6〜7割の完成度でも良いので、とにかくお客さんに認知してもらうこと。
これが大切なんじゃないかな〜と思います。
悔しいですが、今回の例で言うと、当時の私の上司に軍配が上がりました(笑)。
お店の集客ツールを考える際の参考にしてもらえればと思います。
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