比較的小さめの飲食店を開業しようと思った時、必要な最低人数ってどれくらいでしょう?
多分3人くらいだと思います。毎日2人で営業して、1人休みという感じ。
でも、3人揃って一緒に開業できるケースなんてなかなかありません。
大体は「気のあう仲間2人で開業を目指す」、こんなケースが多いと思います。
実際、私たちがお手伝いしている起業支援店舗も常時2名体制で営業しつつ、現在人材を募集している状況です。
「アルバイトを1〜2人だけ採用したい」
私たち同様、開業当初はこんなケースになる場合が多いので、今日は私たちが開業当時に無料でアルバイトを採用するために画策した事を書いてみたいと思います。
求人広告は高い
私たちが2号店を出店する時、人材不足が問題になりました。
1号店を創業メンバー4人で運営してきましたが、2店舗で4人じゃ足りないのです。
最低でも2人、できれば3人アルバイトが必要という状況でした。
しかもただの3人じゃダメ。
創業メンバーの抜けた穴を埋めるくらい強烈な個性を持つ3人を確保する必要があったのです。
そして当時、4人で話し合って考えた採用手法は3つ。
①求人広告を出す
②お店に求人募集を張り出す
③お客さんを口説く
結果を先に書くと、③を選びました。
でも念のため①、②を選ばなかった理由も一応書いておきます。
①求人広告を出す
これは、人材会社出身の私が書くのも何ですが、求人広告って高すぎるんです(笑)。
創業時に成功の保証もない広告に10万円なんて投資できないのです。
しかも創業時は時給も大して出せないので、他の飲食店に募集条件では勝てません。
投資と回収のリスクが高すぎるため、求人広告は却下になりました。
②お店に求人募集を張り出す
これは最後まで結構悩みました。
広告費はゼロで済みますし、お店の雰囲気も分かってる人が応募してくるわけですからね。
でも、これも止めました。
理由は「お客さまを不採用には出来ない」、という事。
創業時ってお店とお客さまの心理的な距離が近いので、大体のお客さまの顔と名前は覚えている訳です。当時は8割くらいのお客さまの顔と名前を覚えていました。
もし、そんなお客さまが応募してくれて採用にならなかったら、気まずいという訳です。
抜群の3人をピックアップ
4人で議論した結果、「お客さまを口説く」という事になりました。
お客さまで来ていただいている中で強烈な個性を持つ3人を見つけて口説くのです。
候補者選びは一瞬で決まりました。
創業メンバー全員一致で同じ3人を選んだからです。
3人ともそれぞれ別々の学校に通う大学生でした。
私は前職が人材関係だった仕事柄、年間数百人の新卒学生と面接していましたが、その経験からしてもなかなか見つけられない位に魅力的な3人だったのです。
アルバイト3人の採用なんて、一般的な人たちから見たらどうでもいい事かもしれません。でも、私たちや飲食店を開業して間もない人たちにとっては一大事なのです。
「彼らを口説ければ会社の未来が拓ける」
私たち4人にとっても、初めての人材採用は一大プロジェクトだったのです。
「シェーカー振ってみる」という体験から入る
人選が終わると問題なのが口説き方です。
せっかく抜群の人材を見つけても、口説くのに失敗したらもうチャンスはありません。
しかも失敗したら気まずくなって、お店にも来てくれなくなるかも知れません。
そこで思いついたのが、「シェーカーを振る練習から入る」というやり方。
「アルバイトしてみない?」と言うと心理的なハードルが高いので、まずは「シェーカーを振ってみてカクテルを作る体験をしてもらう」ところから入っていきました。
「今度シェーカー振ってカクテル作ってみる?」と声をかけたのです。
大学生でバーに飲みに来るくらいなので、カクテル作りに興味がない訳ありません。
結果的に3人ともシェーカーを振ってみる体験からアルバイトに興味が湧いたようで、無事採用することができました。
採用コストをかけることなく、最高の3人が加入してくれたのです。
人材採用は飲食店を開業する方にとって避けては通れない道です。
特に創業時のような、投資に対してリスクが取れない時期に、求人広告を出すのは得策とは思えません。
もし飲食店を開業して求人の必要があったら、私たちがやった「まずは仕事の楽しい部分を体験してみてもらう」という採用方法も思い出してみてください。
採用コストをかけずに最高のアルバイトを採用できるかも知れません。
私たちが悩んだ創業時の採用方法が、飲食店開業する方の参考になれば嬉しいです。
私たちが初めて採用したアルバイト(中央2人)と私たち。
アルバイト卒業後、久しぶりの集まりにて(2006年ごろ)。
もう一人のアルバイトが撮影してるので写っていません(笑)。