店舗改善

「足す」よりも「引く」という改善

さて、今回から新しく店舗オーナーさんの店舗改善における「具体的な取り組み」について紹介していくコーナーを作ってみました。
この企画が、店舗経営をされているオーナー皆さんの参考になれば嬉しいです。

居抜き物件ならではの課題

今回ご紹介するお店は4年ほど前に居抜きで物件を契約したあるオーナーさんのお店。
コロナによる自粛が明けたものの、業績が期待通りに上向いていない状況の改善に取り組んでいるところです。

そんなオーナーさんと色々な話をしてきた中で見えてきた今回の改善の方向性が「原点回帰」。

「お店に何かを付け足していくのではなく、長年の経過でお店に積み重なったくたびれ感を取り除くことでお店が元々持っていた魅力を蘇らせよう」という訳です。

居抜き物件を契約して安く開業できた分、その資金でお店に様々な装飾を付け足していってしまうお店は意外とは多いのではないでしょうか?

もちろんそれでお店の魅力が増す場合もあるとは思いますが、今回のオーナーさんに関しては、もう一度お店が出来た当時の状態に戻すことが改善のスタートだと感じていたため、「原点回帰」をキーワードに改善することとなりました。

「引く」ことでこそ出てくる魅力

まずは原点回帰の一手として、テーブル席フロア床面の塗装剥離と再塗装。
左がbefore、右がafter(それぞれタップで拡大)

そしてテーブル席の研磨と再塗装。

カウンター席の研磨と再塗装。

いかがでしょうか?
オーナーさんの当初の狙い通り、本来お店が持っていた魅力がグッと引き出されたように感じられます。

今回はなるべく支出を抑えたいという事もあり、オーナーさんと私で改善を進めてきた訳ですが、この「足さずに引く」という過程には、お店の魅力を引き出せるという事以外にもメリットがあったと感じました。

設備に対する愛着

今回の改善で私が気づいた「引く」という改善のメリット。
それは、オーナーさん自身がお店を改善する「引く」という過程で、改めて自分のお店の設備に対して愛着を感じるようになったという点です。

実際、一緒に塗装剥がしや再塗装をしている過程で、オーナーさん自身が「いや~、愛着が湧いてきますね~」と何度も口にしていた通り、愛着というものはその設備を大切に使うことで湧いてくるものであり、そのお店に対する愛着がお客さんにも伝わって、お客さんもお店に愛着を感じてくれるようになるのではないでしょうか?

もちろん、お店の設備をキレイにしたからと言って、すぐに業績が改善することはありません。
ただ、お客さんがお店に感じる愛着こそが個人店の魅力の1つだとするならば、まずはオーナーさん自身が改めてお店に愛着を感じるようになったという事実は、業績改善には欠かせない一歩だったように思うのです。

という事で、今回の改善事例はここまで。
また次回の進捗をお楽しみに。

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